ある方のメールが拙者の所へ転送されてきたが、その
中に「審判廷で冒頭、裁判長が『加害牧師が脱会した』
という表現で報告された」とあって非常に驚いている。
日本聖公会では、他教派のの教会への教会員の転籍さえ
認めていないのではないのか。かつて、ある教派の教会
でご本人の依頼で拙者の知り合いの牧師が、日本聖公会
のある教会へ電話をしたら、「転籍状を送ることは出来
ないから、そちらで籍を起こして下さい。受洗年月日と
堅信礼の年月日、及びそれらの司式者に関することは、
お教えすることはいたします。」と言われたそうだ。そ
の知り合いの牧師にいま、電話で再確認したから間違い
ない。
ということは、たとえ加害司祭が自分で「脱会する」
と宣言したとしても、日本聖公会はそれを認めることは
あり得ないはずなのだが、信徒と聖職者では扱いが異な
るのだろうか。それとも、都合の悪いときは「脱会」を
認めて、そうでない時は「脱会」を認めないのだろうか。
しかし、常識的に考えれば、「審判廷で冒頭、裁判長が
『加害牧師が脱会した』という表現で報告された」とし
ても、それは単に「加害牧師が脱会した」と言っている
ということであって、審判廷を維持することには何ら影
響はないのではないのか。加害司祭が女児に対する性的
虐待を行っていた時期は、確実に彼は日本聖公会京都教
区に所属していたのだから、彼を教区審判廷で審判に付
することには何の差し障りもない。具体的にいえば、た
とえば、教区審判廷が法憲法規に抵触している行為をし
たとして、何らかの処分をすることについては何ら問題
はないし、教区審判廷はそれをしなければならない。
例を挙げよう。Ａという人物が京都府の条例に違反す
る行為をしたとする。その行為が発覚する前に、Ａは他
の都道府県に住所を移していたとしても、問題は、Ａと
いう人物が、京都府内で京都府の条例に違反した行為を
犯しているのだから、その時点での違反行為が問題にさ
れ、それなりの裁判を経て、裁判所は判決を下すことに
なる。加害司祭の場合、去る３月１２日？に日本聖公会
を「脱会」していたとしても、その加害行為は加害司祭
が日本聖公会の司祭であったときに行われたことである
のだから、日本聖公会京都教区審判廷はその加害行為に
対して、法憲法規に基づいた審判をしなければならない。
ただし、その審判が加害司祭を拘束できるかどうかとい
うことになると、少なくとも日本国の法律によって開廷
された裁判の判決ではないのだから、これは非常に難し
い問題がそこに起こってくる。
ただ、一つだけ言えることは、加害司祭の性的虐待行
為が事実であったと日本聖公会京都教区は既に認めてい
るのだから、日本聖公会京都教区として、「脱会した」
その加害司祭が宣言しようがしまいが、教区審判廷にお
いて法憲法規に則った審判をしなければ、日本の社会に
対する社会的道義的責任を果たしたことにはならないし、
被害女性が日本聖公会の教会員であるかないかに関わら
ず、被害者に対する日本聖公会京都教区の責任を果たし
たことにはならないだろう。加害司祭が日本聖公会とい
う一つの教会を「脱会する」ことは自由だが、日本聖公
会はそのことに関して、当該司祭が性的虐待に対する慰
謝料請求裁判で敗訴が確定し、慰謝料を支払っていると
いう事実をしっかりと認識する必要があるだろう。
＜土方歳三の世直し＞は下記のアドレスに変更になりました。
http://hijikatatoshizou.blog.shinobi.jp/
新撰組の屯所で一括管理するために変更しました。
過去ログをお読みになりたい方は、以前のアドレスにアクセス
して下さい。また、新撰組のブログはリンクフリーです。自由に
リンクして下さって結構です。
新撰組局長 近藤 勇
＜土方歳三の世直し＞は下記のアドレスに変更になりました。
http://hijikatatoshizou.blog.shinobi.jp/
新撰組の屯所で一括管理するために変更しました。
過去ログをお読みになりたい方は、以前のアドレスにアクセス
して下さい。また、新撰組のブログはリンクフリーです。自由に
リンクして下さって結構です。
新撰組局長 近藤 勇
風来坊氏のブロッグに面白いことが記されている。宗
教法人日本聖公会京都教区が宗教法人日本聖公会を離脱
するという「秘策」なのだが、それをするならば、宗教
法人法を熟読しなければならないだろう。弁護士に相談
することも悪くはないが、こうした事案を手がけたこと
のある弁護士はそう多くはないはずだ。一宗教法人が包
括団体を離脱することに比べたら、その困難さには雲泥
の差がある。
しかし、道はないわけではないし、法的にも問題はな
い。国家の法は、一宗教法人の内規（ここでは日本聖公
会法憲法規及び関連規則を意味する）を超えている。言
い換えれば、宗教法人法の理念を内規が否定できないと
いうことだ。具体的に言えば、宗教法人日本聖公会京都
教区が宗教法人日本聖公会を離脱することは、宗教法人
法によってその権利が守られているということだ。
ただし、かなりハードでシビアな主教会や管区との闘
いが待っている。風来坊氏はそれを十分に理解している
ように思えるが、日本聖公会京都教区がそれを理解でき
るかどうかが、この離脱を成功させる鍵を握っている。
既に、主教の中のどなたかは風来坊氏のブロッグを読ん
でいらっしゃるであろうから、日本聖公会京都教区が離
脱することを阻止する方法を、非公式な仕方で、それに
対処する方法を検討しているだろう。
ただ、この離脱に関する議論は、管区小審判廷でも、
管区審判廷でもないところで行うことが出来るし、それ
しか議論の場はない。離脱に関する規則は、その離脱手
続きに関して宗教法人法に明記されているから、それを
否定するようなことは出来はしないし、否定したとして
も法的拘束力はないと考えられる。最近、日本聖公会の
中で、宗教法人になっているそれぞれの教会を、教区と
いう包括宗教法人に組み入れることを考え始めていると
聞いている。おそらく、女性司祭按手に反対している教
会や、フェミニズムや同性愛に反対している教会が離脱
することを防ぐことが目的なのだろうが、教区会でそれ
を決定することが、法的に可能かどうかは議論のあると
ころだ。
しかし、宗教法人日本聖公会京都教区が宗教法人日本
聖公会を離脱することは、特別に大きな困難はない。こ
とに、この離脱できる権利は宗教法人法によって保証さ
れているのだから、宗教法人日本聖公会京都教区がそれ
を決定する教区会を開くことを、包括団体である宗教法
人日本聖公会は阻止することが出来ない。既に、仏教界
では、こうした離脱が行われている。つまり、手続きさ
え間違えなければ、宗教法人日本聖公会京都教区が宗教
法人日本聖公会を離脱することは決して難しいことでは
ないということだ。
ただし、宗教法人法を熟知して事に当たらなければ、
宗教法人日本聖公会がその離脱を阻止出来る可能性が高
くなることも事実だ。宗教法人日本聖公会は必死になっ
てその方法を模索し、裏工作を仕掛けてくることは十分
に予想できる。しかし、日本聖公会京都教区主教がその
立場を守れる道は、宗教法人日本聖公会から離脱する以
外にないことは風来坊氏が指摘しているとおりだろう。
どうしても教区主教の椅子に座り続け、高収入を確保し
続けていたければ、その道を選ぶしかない。ただし、そ
れを実行したら、日本の社会からだけではなく、世界の
聖公会の教会から途轍もないブーイングが起こることは
間違いないだろう。それに耐えられる数だけの毛が心臓
に生えていたらやってみるといい。
管区小審判廷が結審したあと、日本聖公会京都教区は
一体何をしているのだろう。被害者はＰＴＳＤでいまも
苦しみ続けているというのに、あの管区小審判廷から既
に２０日以上が経っている。しかし、これで日本聖公会
京都教区が、加害司祭から性的虐待を受け続けていた被
害者のことを真剣に考えていないことがはっきりしてき
た。セクシャル・ハラスメントを防止する委員会とやら
も、何もしていないとすれば、日本聖公会京都教区自身
にはもう、この問題を解決する気持ちも能力もないこと
が明らかになっているということになる。
それとも、日本聖公会京都教区は、あの被害者の方々
ともう一度話し合いをして、どのようなことがあって、
その後、どのように思ってきたかということをもう一度
明らかにしようとしているのだろうか。しかし、拙者の
所へは、そうした動きがあるという情報は入ってきてい
ない。あるいは、どのような審判をすべきか、毎日真剣
に取り組んでいるために、何の情報も流れてこないのだ
ろうか。
引き延ばせるだけ引き延ばして、最後は「時効」で審
判廷を回避しようとしているのだろうか。しかし、最初
の審判廷申立の時点で時効は停止しているはずだ。だか
ら、いくら引き延ばしても意味がない。それよりは、引
き延ばすことによって受けるマイナス面の方が遙かに大
きい。加害司祭に支給した退職金に関する問題性は、か
なり広範囲で認識されているという。そしてこれに関し
て、文科省なり京都府庁なりが判断を下す前に、加害司
祭を懲戒して、退職金の返還命令を出した方がいい。で
ないと、万が一京都府庁が動くと、ジャーナリズムはこ
れを一斉に報道するだろう。
テレビのワイドショーに格好のネタを提供してしまう
ことになる。そして、管区小審判廷のことが報道されれ
ば、それを無視しているような行動は、日本聖公会全体
にとって極めてマイナスの要因として跳ね返ってくる。
いい加減で、あきらめた方がいい。引き延ばせば引き延
ばしただけ、跳ね返ってくるものが大きくなる。英国国
教会系のキリスト教会の主教や司祭だからといって、性
的虐待が容認されることはあり得ないし、むしろ聖職者
としてあるまじきことだということは、誰もが考えると
ころだ。日本聖公会京都教区の主教は、拙者たちよりも
歳が下だと聞いている。しかし、１０も２０も下ではな
いだろう。いい加減で、常識的に判断した方がいい。
