風来坊氏のブロッグに面白いことが記されている。宗
教法人日本聖公会京都教区が宗教法人日本聖公会を離脱
するという「秘策」なのだが、それをするならば、宗教
法人法を熟読しなければならないだろう。弁護士に相談
することも悪くはないが、こうした事案を手がけたこと
のある弁護士はそう多くはないはずだ。一宗教法人が包
括団体を離脱することに比べたら、その困難さには雲泥
の差がある。
しかし、道はないわけではないし、法的にも問題はな
い。国家の法は、一宗教法人の内規（ここでは日本聖公
会法憲法規及び関連規則を意味する）を超えている。言
い換えれば、宗教法人法の理念を内規が否定できないと
いうことだ。具体的に言えば、宗教法人日本聖公会京都
教区が宗教法人日本聖公会を離脱することは、宗教法人
法によってその権利が守られているということだ。
ただし、かなりハードでシビアな主教会や管区との闘
いが待っている。風来坊氏はそれを十分に理解している
ように思えるが、日本聖公会京都教区がそれを理解でき
るかどうかが、この離脱を成功させる鍵を握っている。
既に、主教の中のどなたかは風来坊氏のブロッグを読ん
でいらっしゃるであろうから、日本聖公会京都教区が離
脱することを阻止する方法を、非公式な仕方で、それに
対処する方法を検討しているだろう。
ただ、この離脱に関する議論は、管区小審判廷でも、
管区審判廷でもないところで行うことが出来るし、それ
しか議論の場はない。離脱に関する規則は、その離脱手
続きに関して宗教法人法に明記されているから、それを
否定するようなことは出来はしないし、否定したとして
も法的拘束力はないと考えられる。最近、日本聖公会の
中で、宗教法人になっているそれぞれの教会を、教区と
いう包括宗教法人に組み入れることを考え始めていると
聞いている。おそらく、女性司祭按手に反対している教
会や、フェミニズムや同性愛に反対している教会が離脱
することを防ぐことが目的なのだろうが、教区会でそれ
を決定することが、法的に可能かどうかは議論のあると
ころだ。
しかし、宗教法人日本聖公会京都教区が宗教法人日本
聖公会を離脱することは、特別に大きな困難はない。こ
とに、この離脱できる権利は宗教法人法によって保証さ
れているのだから、宗教法人日本聖公会京都教区がそれ
を決定する教区会を開くことを、包括団体である宗教法
人日本聖公会は阻止することが出来ない。既に、仏教界
では、こうした離脱が行われている。つまり、手続きさ
え間違えなければ、宗教法人日本聖公会京都教区が宗教
法人日本聖公会を離脱することは決して難しいことでは
ないということだ。
ただし、宗教法人法を熟知して事に当たらなければ、
宗教法人日本聖公会がその離脱を阻止出来る可能性が高
くなることも事実だ。宗教法人日本聖公会は必死になっ
てその方法を模索し、裏工作を仕掛けてくることは十分
に予想できる。しかし、日本聖公会京都教区主教がその
立場を守れる道は、宗教法人日本聖公会から離脱する以
外にないことは風来坊氏が指摘しているとおりだろう。
どうしても教区主教の椅子に座り続け、高収入を確保し
続けていたければ、その道を選ぶしかない。ただし、そ
れを実行したら、日本の社会からだけではなく、世界の
聖公会の教会から途轍もないブーイングが起こることは
間違いないだろう。それに耐えられる数だけの毛が心臓
に生えていたらやってみるといい。
